在宅支援などの介護を、世間体が悪いといって断る人も少なくありません。特に80代、90代の高齢者の人になるほど、そう感じることが多いようです。日本のお年寄りには、『介護=お上の世話になること=人に頼ること=自分がダメになること』というイメージがあるのです。
そのようなイメージを『偏見だ』『無理解だ』などと批判してしまうのは簡単なことですが、簡単な問題として片づけてはいけません。『介護』という世話を拒否することで、自分の自立心や自分の存在を再確認している部分も少なくないからです。
そのような人は、拒む心があること、つまり『ガンコ』だからこそ元気で健康とも考えられます。介護という仕事は、人それぞれのニーズに対応すべきものです。『この人はこのような障がいがあるからこのメニュー』というような機械的なものではありません。『いらない』という人に、無理やり自立支援をおしつけしまうことは良くありません。
そのようなガンコな高齢者の人の頭の中はこちらが思う以上にシャープで、状況を認識しているものです。おそらく、そのような人は自分がガンコであることなど十分わかっているのかもしれません。そして、いずれ自分が本当に介護が必要になる日が来ることも十分わかったうえで、あえて『ガンコぶって』いるのかもしれません。
ですが、なかなかその様なことは認めたくないものです。ケアされる日が近づけば近づくほど、元気なときは大切な時間なのです。そのような人に対しては、そっと見守ってあげることが必要なこともあります。自立支援では『何もしない』ということも必要なケアなのかも知れませんね。